鳥取県日野川水系の水力発電所
鳥取県西部を流れる一級河川日野川には水力発電所がたくさんあります。
水力発電所の取水経路というのは面白いもので、少しでも多くの有効落差と安定した流量を得るために涙ぐましい程の工夫が施されています。
そういった水路網を辿り歩いて楽しむのがまず一つ。
そして可能な限り文献にあたりその沿革を明らかにするのがもう一つ。
以上二つのテーマでそれぞれの水力発電所を掘り起こして行きます。
それでは始めようじゃないか、ぽんきちくん。
ほんとにひとりでやってもらえませんかね。
黒坂発電所
事業主 :中国電力
最大出力:15,000kW
運転開始:昭和15年7月
黒坂発電所は昭和15年7月、広島電気によって建設されました。
現在は中国電力が運営しています。
有効落差・最大出力ともに日野川流域からの取水で賄う水力発電所としては文句なしのナンバーワン。
2条の水圧鉄管が良く見えるランドマークでもありますので、まさに日野川を代表する水力発電所と言っても過言ではありません。
川平発電所と川平第二発電所
事業主 :ESS(中国電力系)
最大出力:198kW(小水力)
運転開始:昭和6年8月
川平発電所はESSの所有する小水力発電所で、鳥取県江府町久連にあります。
広島電気によって昭和6年に建設された、日野川水系でたぶん4番目ぐらいに古い水力発電所です。
令和2年、中国電力からESSへ移管すると同時に設備を変更。
現在は最大出力198kWの小水力発電所として運転しています。
また川平発電所の存在を複雑にしている川平第二発電所についてもここで説明します。
旭発電所
事業主 :ESS(中国電力系)
最大出力:675kW(小水力)
運転開始:明治42年10月
旭発電所は山陰電気によって明治42年に建設された日野川水系最古の水力発電所です。
令和元年に中国電力からESSへと移管し、最大出力675kWの小水力発電として生まれ変わりました。
日野川第一発電所
事業主 :県営
最大出力:4,300kW
運転開始:昭和43年5月
日野川第一発電所は、治水が主な目的である菅沢ダムの付帯施設として昭和43年に完成、発電を開始しました。
完成から50年以上にわたり鳥取県の管轄で発電を行っていましたが、M&C鳥取水力発電株式会社が運営を引継ぎ、2024年末ごろから運転を再開しています。
ここで採用されている民間委託による運営方式(コンセッション方式のPFI)というやつがちょっと難しいですので詳しめに解説しています。
畑発電所
事業主 :農協系
最大出力:165kW(小水力)
運転開始:昭和33年12月
畑発電所は、鳥取県日野郡日野町中菅にある小水力発電所です。
昭和33年、黒坂農協によって建設されました。
現在はJA鳥取西部を事業主体として、京葉ガスエナジーが管理運営を行っています。
少し前までは戦後間もないレトロ建築の趣を楽しむことが出来た名物スポットも、令和4年3月に竣工した更新工事によって生まれ変わりました。
根雨発電所
事業主 :農協系
最大出力:135kW(小水力)
運転開始:昭和34年1月
根雨発電所は昭和33年12月、日野農協によって建設され翌34年1月より発電を開始しました。
JA鳥取西部が所有する小水力発電所の中では更新のタイミングが最も遅く、ついこの間まで戦後間も無い頃のレトロ建築としてその外観を楽しむことができていましたが…
残念ながら今は一片の名残すら残っていません。
米沢発電所
事業主 :農協系
最大出力:160kW(小水力)
運転開始:昭和32年1月
米沢発電所は昭和32年、米沢農協により建設されました。
また令和2年より設備更新を開始し、翌3年3月17日に落成。
現在は京葉ガスエナジーとJA鳥取西部の協働によって運営されています。
溝口発電所
事業主 :農協系
最大出力:199kW(小水力)
運転開始:昭和34年9月
溝口発電所は鳥取県の西伯郡伯耆町にある小水力発電所です。
昭和34年、溝口・日光・二部の三農協によって建設されました。
現在は京葉ガスエナジーとJA鳥取西部の協働により運営されています。
山上村農協小水力発電所
事業主 :農協系
最大出力:150kW(小水力)
運転開始:昭和26年
日南町尾郷にはかつて農協系の水力発電所がありました。
昭和26年に建設された山上村農協小水力発電所です。
今はありません。
中国地方における小水力発電の歴史
日野川にある水力発電所ををご紹介していくにあたって少しだけ、小水力発電とは何ぞや?といった部分について年表形式でご説明します。
特に小水力発電というジャンルに対して起こった3つの事件とは!?
巨大なダムを利用するのではなく、重箱の隅をつつくように取水してちまちま発電する小水力発電も面白いですよ!